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===<span id="ikeda">NDLラボサーチ ~軽快なディスカバリーサービスと実験的機能の紹介(池田 光雪)</span>===
===<span id="ikeda">NDLラボサーチ ~軽快なディスカバリーサービスと実験的機能の紹介(池田 光雪)</span>===
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::国立国会図書館電子情報部電子情報サービス課次世代システム開発研究室では,図書館に関わるシステムの開発に供するため様々な実験的なサービスの開発を行っている.2013年9月にはNDLが持つデータを対象とした新たなディスカバリーサービスとしてNDLラボサーチを公開し,現在に至るまで開発を続けている.NDLラボサーチについて2014年にはEnd-User ProgrammingやAPI First,Modularityといった開発理念についてライトニングトークを行ったが,今回は実験的な機能に焦点を当てた紹介を行う.具体的には(1) 全レコード表示からの絞り込み,(2) キーワードによる絞り込み,(3) NOTファセット,(4) 表示形式の切り替え,(5) 著作数順ソート,(6) ブックマーク及びそのエクスポート機能,(7) ブックマークを元にしたレコメンドなどを紹介し,これからの図書館システムに求められる機能について広く議論を行う.


===<span id="fukuyama">NDCのLinked Data、あなたならどう使う?(福山 樹里)</span>===
===<span id="fukuyama">NDCのLinked Data、あなたならどう使う?(福山 樹里)</span>===
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::国立国会図書館と日本図書館協会(分類委員会)は、日本の標準分類法である「日本十進分類法(NDC)」をLinked Data形式化するため、2015年4月から共同研究を行っています。発表では、その途中経過を報告し、今後の研究に活かすため、ご参加の皆様のご意見をうかがいたいと思います。


===<span id="tanabe">電子ジャーナルリスト徹底活用法 - 楽しい電子ジャーナル管理のために(田辺 浩介)</span>===
===<span id="tanabe">電子ジャーナルリスト徹底活用法 - 楽しい電子ジャーナル管理のために(田辺 浩介)</span>===
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::電子ジャーナルの管理を担当されているみなさん、電子ジャーナルリストのファイルが簡単に入手できることをご存じでしたか? 実は意外にあちこちで入手できるジャーナルリスト、それ自体は単なるExcelやCSVファイルなのですが、ちょっと他のシステムやデータと組み合わせるだけで、おもしろいことができるのです。
::この発表では、現在一般に入手できる複数のジャーナルリストを紹介し、またそれをNext-L Enjuのような図書館システム、ORCIDのような外部サービスと結びつけることで、図書館業務にどのように役立てることができるかをお見せします。


===<span id="harada">学生からの回答を元に誤りパターンを蓄積することで成長する自習用教材の開発(原田 隆史)</span>===
===<span id="harada">学生からの回答を元に誤りパターンを蓄積することで成長する自習用教材の開発(原田 隆史)</span>===
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::本研究の目的は、司書課程における分類付与演習システムの開発である。本システムでは従来の演習形式を改善するために、目次やあらすじなどWeb上の資料などを用いて分類付与演習をできるようにした。また、学生の回答データを蓄積し、その誤りパターンに対応するルールを元に、学生が誤解答を行った場合には蓄積された誤りパターンに応じて適切な指摘を行い、もしシステム未登録の誤回答が提出された場合には、担当教員団に対して連絡が送られ、学生が提出した誤答を分析して新たなルールを追加できる仕組みの構築を試みた。


===<span id="yoshimoto">図書館の大規模データ処理に「Google BigQuery」を使ってみよう(吉本 龍司)</span>===
===<span id="yoshimoto">図書館の大規模データ処理に「Google BigQuery」を使ってみよう(吉本 龍司)</span>===
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::カーリルでは、日々発生するデータの統計処理にGoogleのビックデータ解析基盤である「Google BigQuery」を導入しています。これにより、スクレイピングの精度向上や、特定の地域内のラスト1を検出することなどが高速かつ低コストで実現可能になりました。実際に稼働しているプログラムをもとに、データの投入から、従来のシステムとの連携、データ活用の可能性について発表します。


===<span id="kobayashii">ウィキペディアを介してまちと図書館をつなぐ試み「ウィキペディア・タウン」(小林 巌生)</span>===
===<span id="kobayashii">ウィキペディアを介してまちと図書館をつなぐ試み「ウィキペディア・タウン」(小林 巌生)</span>===
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::地域の特徴となる歴史的、文化的、地理的、社会的なヒト・コト・モノに着目し、ウィキペディアの記事化するワークショップ手法である「ウィキペディア・タウン」。当ワークショップではグループにわかれて街歩きを兼ねて現地調査を行い、図書館や資料館などの文化機関で文献を参照しながらウィキペディアの記事を執筆する。ウィキペディアタウンの由来はイギリスのモンマウスという田舎町が観光施策としてウィキペディアにまちの記事を多く書き込み、ウィキペディアを運営するウィキメディア財団から「ウィキペディアタウン」として認定されたのが最初であるが、日本では、2013年にワークショップとして実施され、以来、全国各地へ活動の輪が広がりをみせている。
::本発表では「ウィキペディア・タウン」についてこれまでの経緯やワークショップの実施方法について紹介するとともに、ウィキペディアを活用するメリットや課題について考察する。そして、地域と文化機関それぞれにとって「ウィキペディア・タウン」を実施する意義について、「学び」や「アーカイブ」などの側面から考察を加える。


===<span id="tsunekara">ビブリオバトルLOD : ビブリオバトルイベント情報と書誌情報のリンキング(常川 真央)</span>===
===<span id="tsunekara">ビブリオバトルLOD : ビブリオバトルイベント情報と書誌情報のリンキング(常川 真央)</span>===
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::現在、図書館における利用者同士が出会うイベントとしてビブリオバトルが全国的に行われている。ビブリオバトルのイベント情報には、発表された本の情報が潜在的に含まれているなど、図書館が従来から扱っている情報とリンキング可能である。これらの情報を活用することで、図書館のコレクションに新たな価値を付加することが見込まれる。しかしながら、現在ビブリオバトルの情報はウェブに分散されており組織化がなされていない。ビブリオバトルLODプロジェクトは、全国のビブリオバトルのイベント情報をLinked Dataの考えに従って組織化し、ビブリオバトルイベントのデータベースを構築するプロジェクトである。本発表では、データベースシステムのプロトタイプを紹介するとともに、実際に作成したデータと図書館蔵書目録データをリンキングする実験をデモンストレーションする。


===<span id="kikkawa">Yet Another IRDB: 新たな機関リポジトリ分析システムの提案(吉川 次郎)</span>===
===<span id="kikkawa">Yet Another IRDB: 新たな機関リポジトリ分析システムの提案(吉川 次郎)</span>===
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::機関リポジトリは学術情報流通基盤として重要な存在である。特に、平成25年4月の学位規則改定による博士論文のインターネット公表を背景に、今後ますます重要性が拡大することが予想されるほか、朝日新聞社刊行の「大学ランキング」において機関リポジトリランキングが掲載されるなど、機関リポジトリに対する社会的な認知の広がりや、機関リポジトリを大学に対する評価に用いる動きが見られる。したがって、機関リポジトリは学術情報流通基盤であると同時に、社会への情報発信や宣伝としての機能を果たしうる存在であると言える。
::日本国内における機関リポジトリのメタデータを収集・分析するためのシステムとしては、国立情報学研究所提供の「IRDBコンテンツ分析システム(以下、IRDB)」が存在するが、同システムの主な提示内容は、分析対象機関全体または個別機関ごとのコンテンツの増減およびコンテンツ種別ごとの内訳などに留まっている。より具体的には、特定のコンテンツ種別について上位の機関名およびその割合を示す、A大学とB大学によるコンテンツの比較を行う、特定コンテンツ種別の搭載が特定年度以降どれくらい増えているかを示す、などの機能は提供されていない。これらを可視化することで、今後の学術情報基盤に関する議論の資料として活用が期待できるほか、大学図書館員の貢献を可視化することで大学図書館員の評価にも繋がることが期待できる。
::以上の背景を踏まえ、本発表では、既存のIRDBに実装されていない分析の観点を検討したうえで、「Yet Another IRDB」として試験的に実装したシステムの提案を行う。


===<span id="nagasaki">図書館での全文検索サービスに向けての点描とそれがもたらし得る可能性(永崎 研宣)</span>===
===<span id="nagasaki">図書館での全文検索サービスに向けての点描とそれがもたらし得る可能性(永崎 研宣)</span>===
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::筆者はこの10年ほど、1億字強の仏典データベースSAT DBの全文検索サービスの構築運営をはじめ、人文学のためのデータベースに様々な形で関わってくるとともに、近年は、国立国会図書館での「翻デジ http://lab.ndl.go.jp/dhii/omk2/ 」やCrowd4uとの連携、さらに、東京大学総合図書館所蔵の万暦版大蔵経の高精細画像データベース http://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/ の構築を行うなど、図書館の周辺でのデジタル化の仕事にも若干の関わりを持ってきている。いずれにおいても、プログラマとしてプログラミングやシステム構築等の部分から自分で作業していることから、本発表では、これらのシステムの技術的背景について解説するとともに、それがもたらし得る可能性について提示したい。
::「翻デジ」は、いわゆるNDLラボにおいて稼働させていただいているクラウドソーシング翻刻システムであり、現状では、近代デジタルライブラリーをターゲットとしたものとなっている。ジョージ・メイソン大学を中心に開発されているメタデータCMS、Omekaとクラウドソーシング翻刻用プラグインであるScriptoを組み合わせたシステムであり、完全にフリーソフトで構築されている。単にテクストデータを作成するだけでなく、近デジの画像資料とのリンクを通じて、グーグル等での近デジコンテンツのヒット率を高めて近デジの有用性を高めるという側面も持っている。
::東京大学総合図書館所蔵の万暦版大蔵経の高精細画像データベースは、8000万画素カメラで撮影した画像を元に、タイルイメージを作成し、Openseadragonを使って閲覧できるようにしている。これは原資料の所蔵順序とLinuxのディレクトリを対応させるとともに、SAT DBの仏典目録機能や全文検索機能と緩やかにリンクすることで発見性を高めている。もちろん、これもフリーソフトによって構築されている。
::このように、筆者は既存のフリーソフトを活用してサービスの構築を行ってきていることから、この経験を皆様にお伝えしつつ、より良いサービスに向けてのアドバイスをいただきたい。


===<span id="ono">iBeaconを用いた大学図書館の利用者行動調査:千葉大学附属図書館での実証実験(小野 永貴)</span>===
===<span id="ono">iBeaconを用いた大学図書館の利用者行動調査:千葉大学附属図書館での実証実験(小野 永貴)</span>===
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::千葉大学附属図書館/アカデミック・リンク・センターは、コクヨファニチャー株式会社と共同で、2015年5月から8月にかけ、利用者行動調査の実証実験を行った。
::本実験では、Bluetooth Low Energy(BLE)による屋内測位技術「iBeacon」を用い、図書館内に約300個のビーコン端末(電波発信機)を設置した。そのうえで、実験に協力して頂ける利用者に、入口カウンターで専用のiPhoneを貸与し、そのiPhoneを持ちながら普段通り図書館を利用してもらった。これにより、利用者の移動軌跡データを収集することができ、空間の改善やサービス向上につなげることができると考えた。
::本発表では、実験手法の技術的特徴や調査方法の工夫、および約3か月間の実施結果について、速報的に報告したい。また、収集されたデータの概要も紹介し、今後の分析方針の展望についても議論したい。

2015年7月26日 (日) 06:40時点における版


基調講演

基調講演(小林 龍生氏(有限会社スコレックス))

To be announced.

通常発表(10件)

NDLラボサーチ ~軽快なディスカバリーサービスと実験的機能の紹介(池田 光雪)

国立国会図書館電子情報部電子情報サービス課次世代システム開発研究室では,図書館に関わるシステムの開発に供するため様々な実験的なサービスの開発を行っている.2013年9月にはNDLが持つデータを対象とした新たなディスカバリーサービスとしてNDLラボサーチを公開し,現在に至るまで開発を続けている.NDLラボサーチについて2014年にはEnd-User ProgrammingやAPI First,Modularityといった開発理念についてライトニングトークを行ったが,今回は実験的な機能に焦点を当てた紹介を行う.具体的には(1) 全レコード表示からの絞り込み,(2) キーワードによる絞り込み,(3) NOTファセット,(4) 表示形式の切り替え,(5) 著作数順ソート,(6) ブックマーク及びそのエクスポート機能,(7) ブックマークを元にしたレコメンドなどを紹介し,これからの図書館システムに求められる機能について広く議論を行う.

NDCのLinked Data、あなたならどう使う?(福山 樹里)

国立国会図書館と日本図書館協会(分類委員会)は、日本の標準分類法である「日本十進分類法(NDC)」をLinked Data形式化するため、2015年4月から共同研究を行っています。発表では、その途中経過を報告し、今後の研究に活かすため、ご参加の皆様のご意見をうかがいたいと思います。

電子ジャーナルリスト徹底活用法 - 楽しい電子ジャーナル管理のために(田辺 浩介)

電子ジャーナルの管理を担当されているみなさん、電子ジャーナルリストのファイルが簡単に入手できることをご存じでしたか? 実は意外にあちこちで入手できるジャーナルリスト、それ自体は単なるExcelやCSVファイルなのですが、ちょっと他のシステムやデータと組み合わせるだけで、おもしろいことができるのです。
この発表では、現在一般に入手できる複数のジャーナルリストを紹介し、またそれをNext-L Enjuのような図書館システム、ORCIDのような外部サービスと結びつけることで、図書館業務にどのように役立てることができるかをお見せします。

学生からの回答を元に誤りパターンを蓄積することで成長する自習用教材の開発(原田 隆史)

本研究の目的は、司書課程における分類付与演習システムの開発である。本システムでは従来の演習形式を改善するために、目次やあらすじなどWeb上の資料などを用いて分類付与演習をできるようにした。また、学生の回答データを蓄積し、その誤りパターンに対応するルールを元に、学生が誤解答を行った場合には蓄積された誤りパターンに応じて適切な指摘を行い、もしシステム未登録の誤回答が提出された場合には、担当教員団に対して連絡が送られ、学生が提出した誤答を分析して新たなルールを追加できる仕組みの構築を試みた。

図書館の大規模データ処理に「Google BigQuery」を使ってみよう(吉本 龍司)

カーリルでは、日々発生するデータの統計処理にGoogleのビックデータ解析基盤である「Google BigQuery」を導入しています。これにより、スクレイピングの精度向上や、特定の地域内のラスト1を検出することなどが高速かつ低コストで実現可能になりました。実際に稼働しているプログラムをもとに、データの投入から、従来のシステムとの連携、データ活用の可能性について発表します。

ウィキペディアを介してまちと図書館をつなぐ試み「ウィキペディア・タウン」(小林 巌生)

地域の特徴となる歴史的、文化的、地理的、社会的なヒト・コト・モノに着目し、ウィキペディアの記事化するワークショップ手法である「ウィキペディア・タウン」。当ワークショップではグループにわかれて街歩きを兼ねて現地調査を行い、図書館や資料館などの文化機関で文献を参照しながらウィキペディアの記事を執筆する。ウィキペディアタウンの由来はイギリスのモンマウスという田舎町が観光施策としてウィキペディアにまちの記事を多く書き込み、ウィキペディアを運営するウィキメディア財団から「ウィキペディアタウン」として認定されたのが最初であるが、日本では、2013年にワークショップとして実施され、以来、全国各地へ活動の輪が広がりをみせている。
本発表では「ウィキペディア・タウン」についてこれまでの経緯やワークショップの実施方法について紹介するとともに、ウィキペディアを活用するメリットや課題について考察する。そして、地域と文化機関それぞれにとって「ウィキペディア・タウン」を実施する意義について、「学び」や「アーカイブ」などの側面から考察を加える。

ビブリオバトルLOD : ビブリオバトルイベント情報と書誌情報のリンキング(常川 真央)

現在、図書館における利用者同士が出会うイベントとしてビブリオバトルが全国的に行われている。ビブリオバトルのイベント情報には、発表された本の情報が潜在的に含まれているなど、図書館が従来から扱っている情報とリンキング可能である。これらの情報を活用することで、図書館のコレクションに新たな価値を付加することが見込まれる。しかしながら、現在ビブリオバトルの情報はウェブに分散されており組織化がなされていない。ビブリオバトルLODプロジェクトは、全国のビブリオバトルのイベント情報をLinked Dataの考えに従って組織化し、ビブリオバトルイベントのデータベースを構築するプロジェクトである。本発表では、データベースシステムのプロトタイプを紹介するとともに、実際に作成したデータと図書館蔵書目録データをリンキングする実験をデモンストレーションする。

Yet Another IRDB: 新たな機関リポジトリ分析システムの提案(吉川 次郎)

機関リポジトリは学術情報流通基盤として重要な存在である。特に、平成25年4月の学位規則改定による博士論文のインターネット公表を背景に、今後ますます重要性が拡大することが予想されるほか、朝日新聞社刊行の「大学ランキング」において機関リポジトリランキングが掲載されるなど、機関リポジトリに対する社会的な認知の広がりや、機関リポジトリを大学に対する評価に用いる動きが見られる。したがって、機関リポジトリは学術情報流通基盤であると同時に、社会への情報発信や宣伝としての機能を果たしうる存在であると言える。
日本国内における機関リポジトリのメタデータを収集・分析するためのシステムとしては、国立情報学研究所提供の「IRDBコンテンツ分析システム(以下、IRDB)」が存在するが、同システムの主な提示内容は、分析対象機関全体または個別機関ごとのコンテンツの増減およびコンテンツ種別ごとの内訳などに留まっている。より具体的には、特定のコンテンツ種別について上位の機関名およびその割合を示す、A大学とB大学によるコンテンツの比較を行う、特定コンテンツ種別の搭載が特定年度以降どれくらい増えているかを示す、などの機能は提供されていない。これらを可視化することで、今後の学術情報基盤に関する議論の資料として活用が期待できるほか、大学図書館員の貢献を可視化することで大学図書館員の評価にも繋がることが期待できる。
以上の背景を踏まえ、本発表では、既存のIRDBに実装されていない分析の観点を検討したうえで、「Yet Another IRDB」として試験的に実装したシステムの提案を行う。

図書館での全文検索サービスに向けての点描とそれがもたらし得る可能性(永崎 研宣)

筆者はこの10年ほど、1億字強の仏典データベースSAT DBの全文検索サービスの構築運営をはじめ、人文学のためのデータベースに様々な形で関わってくるとともに、近年は、国立国会図書館での「翻デジ http://lab.ndl.go.jp/dhii/omk2/ 」やCrowd4uとの連携、さらに、東京大学総合図書館所蔵の万暦版大蔵経の高精細画像データベース http://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/ の構築を行うなど、図書館の周辺でのデジタル化の仕事にも若干の関わりを持ってきている。いずれにおいても、プログラマとしてプログラミングやシステム構築等の部分から自分で作業していることから、本発表では、これらのシステムの技術的背景について解説するとともに、それがもたらし得る可能性について提示したい。
「翻デジ」は、いわゆるNDLラボにおいて稼働させていただいているクラウドソーシング翻刻システムであり、現状では、近代デジタルライブラリーをターゲットとしたものとなっている。ジョージ・メイソン大学を中心に開発されているメタデータCMS、Omekaとクラウドソーシング翻刻用プラグインであるScriptoを組み合わせたシステムであり、完全にフリーソフトで構築されている。単にテクストデータを作成するだけでなく、近デジの画像資料とのリンクを通じて、グーグル等での近デジコンテンツのヒット率を高めて近デジの有用性を高めるという側面も持っている。
東京大学総合図書館所蔵の万暦版大蔵経の高精細画像データベースは、8000万画素カメラで撮影した画像を元に、タイルイメージを作成し、Openseadragonを使って閲覧できるようにしている。これは原資料の所蔵順序とLinuxのディレクトリを対応させるとともに、SAT DBの仏典目録機能や全文検索機能と緩やかにリンクすることで発見性を高めている。もちろん、これもフリーソフトによって構築されている。
このように、筆者は既存のフリーソフトを活用してサービスの構築を行ってきていることから、この経験を皆様にお伝えしつつ、より良いサービスに向けてのアドバイスをいただきたい。

iBeaconを用いた大学図書館の利用者行動調査:千葉大学附属図書館での実証実験(小野 永貴)

千葉大学附属図書館/アカデミック・リンク・センターは、コクヨファニチャー株式会社と共同で、2015年5月から8月にかけ、利用者行動調査の実証実験を行った。
本実験では、Bluetooth Low Energy(BLE)による屋内測位技術「iBeacon」を用い、図書館内に約300個のビーコン端末(電波発信機)を設置した。そのうえで、実験に協力して頂ける利用者に、入口カウンターで専用のiPhoneを貸与し、そのiPhoneを持ちながら普段通り図書館を利用してもらった。これにより、利用者の移動軌跡データを収集することができ、空間の改善やサービス向上につなげることができると考えた。
本発表では、実験手法の技術的特徴や調査方法の工夫、および約3か月間の実施結果について、速報的に報告したい。また、収集されたデータの概要も紹介し、今後の分析方針の展望についても議論したい。