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==基調講演==
==基調講演==


===<span id="koutaki">基調講演「画像処理技術を用いた熊本城石垣の修復支援」(上瀧 剛 氏(熊本大学))</span>===
===<span id="koutaki">「画像処理技術を用いた熊本城石垣の修復支援」(上瀧 剛 氏(熊本大学))</span>===


:講演概要
:講演概要

2017年7月30日 (日) 17:46時点における版

基調講演

「画像処理技術を用いた熊本城石垣の修復支援」(上瀧 剛 氏(熊本大学))

講演概要
2016年の熊本地震により熊本城の石垣が崩落した。
石垣は重要文化財であり,元の位置に戻さなければならない。
本研究ではパターンマッチングと呼ばれる画像処理技術を用いて、崩落前後の石垣の画像を照合することで,石垣の元の位置を特定する石垣照合システムを開発している。
本発表では、それらのシステムや石垣撮影の様子を紹介する。
講演者紹介
1980年 福岡 生まれ
2007年 熊本大学大学院修了 博士(工学)取得
2007年 株式会社日立製作所 生産技術研究所 入社
2010年より 熊本大学工学部 助教
MIRU長尾賞、電子情報通信学会 論文賞、システム制御情報学会産業技術賞を受賞
参考
熊本城 再建 “サムライの英知”を未来へ (NHKスペシャル 2017年4月16日放送)
8カ月 熊本城石垣修復にIT活用 熊大・上滝助教が検索ソフト開発 輪郭から元の位置ピタリ (毎日新聞 2016年12月15日)

発表採択リスト(9件)

「本を通じて人とつながるためのライブラリーシステムとは」(川崎照文)

大阪・芦原橋にある「A´ワーク創造館(大阪地域職業訓練センター)」では、礒井純充氏が提唱している「まちライブラリー」の考えに賛同し、2015年から館内に「まちライブラリー@A´ワーク創造館」というライブラリースペースを作っています。まちライブラリーは、利用者からの本の寄贈、一冊一冊に貼られた感想カード、イベントの開催など、本を通じて人とつながるための仕掛けづくりをしていることが特徴です。
「まちライブラリー@A´ワーク創造館」では、人とつながる仕組みづくりの一つとして、書籍貸出システム「Biblio」を開発し活用しています。「Biblio」は当館が実施しているIT系職業訓練の中で開発したもので、その開発経緯においても「人とのつながり」を意識しました。さらに、「Biblio」を利用したいという他のライブラリーとの交流および共同開発、単に貸出・返却を効率化するだけでなく、寄贈した本が新たな交流を生み出すような新たな仕組みづくりにも取り組んでいます。
今回は、本と人とのつながり、そしてそれを促進するシステムの役割と課題について、これまでの活動を元に私見をお話すると共に、皆さんの考えも色々お聞きしたいと考えております。

「図書館司書資格科目および図書館情報学専門科目でのウェブサイト評価の試み:日本の公立図書館と地方自治体のウェブサイトに焦点を当てて」(古賀崇)

発表者はCode4Lib JAPAN Conference 2014(於:鯖江市図書館)において、「図書館司書課程授業におけるウェブサイト評価の実践の試み」としてライトニングトークを行った。ここでは辞書・事典類に相当するウェブサイトに焦点を当てたが、今回はさらなる教育実践報告として、日本の公立図書館と地方自治体のウェブサイトをめぐる評価について発表し、関係者との関心の共有と議論につなげたい。今回のポイントは、「自治体としての情報発信の責務」への認識である。つまり、自治体として図書館をどのように位置づけているか。また、住民サービスだけでなく、統治・運営に関する情報を、どこまで、どのように発信しているか。さらに、よりよい情報発信のためにどのような課題があるか、といった点を、履修者に認識してもらうことをねらいとして、ウェブサイト評価の課題を行ってきた。この取り組みを通じ、「自治体の財政面での余裕の多寡と、恵まれていない自治体・図書館でも行える工夫」「外部からの調達の実態」「アクセシビリティや外国語発信の徹底度」「自治体としての情報発信の一貫性の程度(例えば広報について)」といった点を、学生が見いだせたのでは、と考えている。つまり、ウェブサイトを注視・分析するだけでも、図書館ないし自治体の運営をめぐる課題が見えてくる、ということである。なお、今回の発表は、天理大学および京都大学における「図書館情報技術論」(図書館司書資格科目)、ならびに同志社大学大学院図書館情報学コースにおける科目「図書館情報学研究(政府情報論)」の授業での実践をもとにしている。また本発表はJSPS科研費JP16K00454による成果の一部である。

「CMSを利用したWebサイトの構造化の検討」(林賢紀)

政府等が保有する公共データを機械判読可能な形式で公開することなどを基本原則とした「電子行政オープンデータ戦略」の取りまとめ以降、政府・自治体においてオープンデータの公開や利活用の取り組みが進められている。
そこで、本発表においては、国立研究開発法人国際農林水産業研究センター公式Webサイトで提供されている情報について、CMSの一つであるDrupalの機能を活用することで掲載されている情報の構造化を行った事例を通じ、オープンデータとして公開するための情報基盤の整備について検討したい。

「教科書LOD -- お手軽、お安く、持続可能な書誌情報公開の秘訣 --」(江草由佳、高久雅生)

発表者らはLODチャレンジ2016において、「教科書LOD」を発表し、教育テーマ省を受賞した。教科書についての書誌情報を簡単に、安価(無料)で、LODとして公開する方法について、著者らが実践した方法についてのノウハウを紹介する。書誌データを作成している図書館との連携、使用したツールの紹介、ちょっとした工夫で実現できる方針や心得など。

「論文執筆の環境をめぐる最新の状況と、学会の査読・編集システムを持続可能とするための方策の検討」(清田陽司)

オープンアクセスジャーナル、機関リポジトリ、プレプリントサーバーなど、学術論文流通のプラットフォームが激変していることは周知の事実であるが、一方で研究者が利用する論文の執筆環境も急激に変化している。OverLeafなどの共同執筆ツールや、Mendeleyなどの文献管理ツールなど、使い勝手の良いツールが普及し、論文の書き方も大きく変わりつつある。一方で、流通する論文の品質を担保する各学会の査読システムや出版システムは、その変化に追随できておらず、編集委員や査読者、執筆者に大きな負担がかかっているように思われる。
本発表では、こうした状況を俯瞰した上で、学会運営を持続可能な形にするための方策についての検討を示し、参加者の方々との議論を行いたい。

「Webシステムのためのエンドユーザ向け公開鍵認証機能の開発」(阪口哲男)

近年、企業や図書館等の様々なサービスがWebシステムを用いて提供されている。それらのシステムではユーザ認証方式としてパスワード認証を用いていることが多い。そこでは、パスワードに推定しやすい文字列を使って不正アクセスの被害にあうことや、複数のサービスでの同一パスワードの使い回しによるパスワード漏洩時の被害拡大が大きな問題となっている。対策として一部のサービス等ではパスワードに加えて、ユーザの所有する端末に紐付けるなどの2要素認証を採用する事例も増えているが、ユーザの操作が煩雑になる上、対応端末を持たない場合には使えず、サービス側にもコストがかかる。本発表ではパスワード認証方式の代替として使用可能な公開鍵認証方式をWebシステムのエンドユーザ向けに導入することを提案する。パスワードを使用しないため、パスワード認証方式の問題を避け、2要素認証よりも煩雑さを抑えることができる。発表者の研究室では、一般的なWebブラウザ以外の特別なソフトウェア等をユーザ環境に要求せずに、公開鍵認証が可能であることを試作システムで既に確認済みである。次の段階として、様々なWebシステムに組み込むためのライブラリ構築を進め、認証プロセスの明確化によって他者による開発も可能にするなどの今後の展開について議論を進めたい。

「PHPで作った電子ジャーナルダウンロード数自動取得システム(プロト版)の紹介」(耳塚良史)

電子ジャーナルのダウンロード数は、量子科学技術研究開発機構(以下、量研)として外国雑誌を選定する上で、最も重みのある指標「CPA(Cost Per Article:論文1ダウンロード当たりの単価)」を算出する為の基データである。また、CPAは昨今の会計検査においても重要な指標として注目されている。このため、電子ジャーナルを管理する図書館として、量研において購読している電子ジャーナルのダウンロード数取得は重要な責務である。
放射線医学総合研究所図書館(現量研本部図書館)は、日本原子力研究開発機構の事業の一部が移管統合されたことで、4つの分館をまとめる中央館としての業務が増えた一方で、人的リソースが減ったため、手動でのダウンロード数取得は困難になった。また、有料ツールの導入についても検討は行ったが、予算の都合上見送ることとなった。
ダウンロード数の取得及び分析にかかる作業時間を極力短縮し、業務効率化・人的リソースのさらなる有効活用を目的として、これらの作業の大半を自動化するシステムを作ることとした。
現時点で量研が購読している電子ジャーナルの出版社数は34社で、現状対応できているのは4社のみであるが、4社分のダウンロード数を取得するのに掛かる時間は2分ほどであった。手動で調査を行った場合、1社に対してかかる時間は5分から10分ほどであるため、業務効率化に期待の持てる結果となった。
現状、各出版社へのリクエストに必要な情報を収集する作業に時間がかかっているが、一度整理ができてしまえば、1週間程度かかっていた作業を数十分で終えることができると見込んでいる。また、本システムはダウンロード数の取得だけにとどまらず、トレンド等の分析ツールとして拡張していければと考えている。

「デジタルレファレンスサービスの方向性-情報格差と地域差を解消するデジタルレファレンスサービスをはじめます」(毛利隼斗、堀田敦士)

多くの情報がインターネットで取得できるため、図書館レファレンスにおける質問内容がインターネットでは取得できない高度な内容となってきている。
図書館サービスにおいてもインターネット経由の質問回答の方法が普及してきているが、電子メール、ライブバーチャル(チャット)、協力(QuestionPoint)の3つによるもの。SNSの活用例もあるが、普及しているのは電子メールサービスのみ。これは、回答担当者の館を超えた協力体制が存在しないためである。協力事業は、過去のレファレンス事例を集積する「協同データベース」のみ。
レファレンス情報源のデジタル化も進み、「リサーチ・ナビ」の様な一元的ゲートウェイが普及してきているが、図書館ウェブ検索から情報探索をスタートさせるという情報行動は見られない。レファレンスサービス自体を知らない国民が多いことが要因であろう。普及には図書館サービスについての広報も兼ねたサービス展開が求められる。OPAC全般的に、一般ユーザーにとって必要である「Googleライクでユーザーオリエンテッド」な要素は乏しい。
情報検索の中心的な役割であるGoogleでは、情報過多、信頼性の欠如、情報鮮度管理不足と問題が多い。
各図書館のビジネス支援サービスには限界がある。例として中小企業が運営するECサイトのGoogle対策(適正化)の正しい情報を得ることは困難なため、悪徳SEO業者が乱立。被害企業が後を絶たない。また難病医療の論文等へのアクセスは難しく、医療ポータルの誤情報に対する不信感は強い。
情報不足の過疎地域支援には民間サービスが必要である。私達は中小企業分野と難病医療情報で不利とされる過疎地域への支援として、情報格差を解消するデジタルレファレンスを開始。二分野に特化して開始するが、随時分野を追加していく。
分類体系やLOD、国内外の調査担当者により情報の信頼性を維持。地図情報や阻害要因、壁、解消法なども公開。当日はサービスの今後の予定と概要を説明する。

「開催報告:大図研オープンカレッジ「Linked Open Data を体験〜書誌・所蔵データは宝の山!〜」」(小村愛美)

6月18日に開催した大図研オープンカレッジ「Linked Open Data を体験〜書誌・所蔵データは宝の山!〜」の開催報告を行う。
図書館の持つデータは、大量の書誌データや典拠データだけでなく、各館の所蔵する古典籍データ等もLODと相性が良いと考えられる。しかし、LODと言う言葉はある程度認知が広がっているものの、具体的な知識や、自館と直接関わる可能性がある概念だという捉え方はまだ一部にとどまっている。
公立図書館では京都のししょまろはんや、大阪市立図書館の画像オープンデータ化などの取り組みがあり、国文研の歴史的典籍NW事業もデータセットのオープン化を始めるなど、図書館とLODやオープンデータの関わりは今後さらに広まることが予想される。
以上の認識のもと、図書館員がLODについて知る機会を増やしたいと考え、オープンカレッジのテーマにLODを選択した。
主なターゲットは「LODを聞いたことはあるが深くは知らない」という図書館員のため、どのようなプログラム・講師を選べば良いのか、企画段階では苦心した。想定スケジュールよりも準備が遅れたが、無事開催にこぎつけ、盛会のうちに終えることができた。発表には、企画段階の意図・プログラム内容の選択・参加者アンケートから読み取れた反応等を盛りこみたい。